polar night bird

香りの記録

87.ささやかな夏《マイロ(ラボラトリオ オルファティーボ)》

半袖で過ごす日が多くなった。 それを考えてしまうと、夏嫌いの私はまだ6月だというのになぜこんな…、という気分でいっぱいになる。 夕方になれば、冬にはあまり気にならなかった行き交う人々の朝昼に付けたであろう香水のラストノートが鼻を掠める。 つい…

86.アーモンドの花《ALMOND(Ortigia)》

ラクレットの店で、こってりしたチーズのスイス料理の後に、アーモンドフレーバーのエスプレッソを飲んだ。 なんだか今年は香水でも植物系ミルクと並んでアーモンドが気になっている。 いくつかのブランドでもその傾向はぼちぼち見られている。 そのきっかけ…

85.夜のゆりかご《NOUN(Bogue Profumo)》

夜が長い。 少し前までは銀座や新宿に足繁く通っていたが、今は何だか歩く気になれず早々に家に帰るようになった。 この職業になってから初めて迎える春だ。 私は深まった春が得意ではない。 その日は特に、会社周辺の会社員達の疲弊やそれらの群衆に紛れた…

84.春風《LE MAROC POUR ELLE/L'EAU(Tauer Perfum)》

新年度になり、外もぐっと春半ばの雰囲気になった。 先日、毛利庭園で人生で初めての花見を体験した。人々と一緒に桜を真下から見上げるのは何とも不思議な感覚だった。 桜は芳香のある種類ではなかったが、その日はふと春風が吹くと、新緑のやや柔らかさの…

83.NOSE SHOPレポート《NEBBIA/UNUM/STORASKUGGAN》

昨月、NOSE SHOPがリニューアルオープンした。 改装の知らせもぎりぎりになってから得たもので、正直このくらい大きなリニューアルだとは思っていなかった。 オープン日前から新入荷のブランドを紹介していたSNSを見ていると、UNUMやSUTORASKUGGAN、アンドレ…

82.春の喜び《Melodie de L'amour(Parfume Dusita)》

春が近づいてきた。 一日中眠気が襲い、外は何やら花粉と共に生物の香りが蘇り始めている。 イタリア香水の一旦の締めくくりにBogue Profumoを選んだものの、一種類だけでは特徴を掴めず追加で何品か取り寄せているのもあり、記事の進捗が思わしくない。 そ…

81.思い出≪id/SOUTH(Mendittorosa)≫

幼少期、プロテスタントであった両親に連れられて日曜日は教会に行っていた。 その教会は後に私が入る事になる幼稚園が併設されていたが、結構な古い建物だった。 ある日、皆が聖書を読んでいる時にお手洗いに行った。 そこの壁はホールと同じく限りなく黒に…

80.5 ブログタイトルを変えました

タイトルの通り、ブログタイトルを日々の糧ー香り日記ーからpolar night birdー香りの記録に変更しました。 理由は特にないのですが、「日々の糧」の敬虔な響きよりは、極夜の徘徊者の方が自分自身の生き方や香りに対する姿勢には合うのではないかと思った次…

80.UNUMの黒《LAVS(UNUM)》

雪の降る日にnoseで注文していたUNUMのサンプルが届いた。 雪で再び外に出る気もせず、若干時間を持て余していた私にとって丁度いい到着だった。 UNUMというと、マルチにアーティスト活動をしているFilippo Sorcinelliが立ち上げたイタリアのブランドで、ア…

79.ペンハリガンについて考える②(ザ ルースレス カウンテス ドロシア)

香水を人に勧めることが多くなったが、 男性からモテる香水を聞かれるとまだ正直困ってしまう。 香りは香りで、人は人だと切り離して考えたい私は、香水を付けること自体の美学や人への効果みたいなものにはてんで疎い。 しかし、だいたいの人々は当たり前だ…

78.Zoologist Perfumes①(キャメル/エレファント)

2018年が始まった。 2017年は個人的にはウンハイムリッヒとの出会いによってしっかりと終わりを迎えられた気分なので、今年は初心に帰ってさらに香水の探検を進めて行こうと思っている。 香り始めは、年始早々に取り寄せたいくつかのブランドのうちのZoologi…

77.帰る場所《アントニア(ピュアディスタンス)》

早いものでもうクリスマスが去った。 どことなく空いている電車やあわただしい空気感が独特の年末感を感じさせる。 今年の香り納めはどうしようかと考えている中、ピュアディスタンスを本格的に試香する機会に恵まれた。 (ピュアディスタンスについては末尾…

76.聖なる血液《ドム ローザ/ベッロ ラベッロ(リキッド イマジネ)》

すでにもう街中に流れるクリスマスソングに飽きてきた。 クリスマスが来ると私の誕生日も同じくやってくるのだが、それについてももうどうでもいい事柄で、出来る限り静かに誰とも会わずに過ごしたいというのが今一番の願いだ。 仕事終わりに通りがかった日…

75.冬とミント《カップ ダンティーブ(エイト&ボブ)》

手袋を買うのも好きだが、冬の寒空の下、敢えて手袋をしないで外を歩くのも好きだ。今年の冬もそんな楽しみが出来る時期が訪れた。 暖かくても出来ないし、寒すぎても辛いだけになってしまう。 微妙な移り変わりの中での一瞬の楽しみだ。 先日、 久々にNeWo…

74.反射《1/.2(イストワール ドゥ パルファン)》

前回の記事を書いた後、ウンハイムリッヒを購入した。外に拡散すると言うより肌に染み込み密かに香る様が心地良く、外に出る際は毎日纏っている。 穏やかな日々を過ごしていた。 もう外はコートの季節だ。毎年コートを着る際は、肌に乗せているものとは違う…

73.不気味な香り《ウンハイムリッヒ(ウィーナーブルート)》

週末に少し恋愛ごっこのようなデートの真似事をした。 休日の夜の霞ヶ関は世界の終わる前の様に静かで、今思い出すと夢だったのではないかと思える。 別に何があった訳ではない。しかし初心な私は、次の日になってもその記憶をあっさりと夢にしてしまうこと…

72.サロ ンド パルファン2017 《ノックス(アンジェラ チャンパーニャ)》

久々の更新になってしまった。 最近体調のせいなのか、香りに不快感を抱くようになってしまい、しばらく香りもの全般から距離を置いていた。 そんな時に、今年のサロン ド パルファンでアンジェラ チャンパーニャが出展するという情報を見たのだった。 アン…

71.アゴニストの冬(ソラリス/ブルーノース)

と春や夏よりも、秋の終わりから冬にかけての季節に心惹かれる部分がある。 今は夏から秋への変わりどきで、そろそろ気に入りの秋冬用の香水に変えようかどうしようかと思案していた。 そんな中、NOSE SHOPにアゴニストが入荷されたのをその2日後に知った。 …

70.レジーム デ フルールの花の中(ターコイズ/ゴールドリーブス)

レジーム デ フルールが日本に来るとは思っていなかった。 そのマットで鮮やかな発色のボトルは海外のサイトで稀に見かけていたが、それ以上の情報も無く、どんな香りの傾向なのかは全く予想がついていなかった。 実は発売日の前日くらいに日本への上陸を知…

69.エルメスの新作(ツイリー ドゥ エルメス)

前々からエルメスから新作の香水が発売されるとは聞いていたが、当初は知らないふりをしようかとも考えていた。 官能性とセットで語られがちな甘く濃厚なチュベローズの香りに若干食傷気味であったからだ。 しかし、やはり天下のエルメスなので捻りがある香…

68.残暑《オードイタリー(オードイタリー)》

どこの企業でもオフィスの空気が悪い日はしばしばあるのだろう。 この日のオフィスはとにかく息が詰まりそうなくらい空気が険悪だった。 そんな空気から逃れて存分に息を吐こうと仕事が終わったらさっさと銀座方面へ向かった。 やはり仕事終わりの1人散歩は…

67.NOSE SHOPにて《ゴールデンネロリ(アベル)》

新宿NEWoManにニッチパルファンを扱うNOSE SHOPがオープンした。 フランスのNoseやSENS UNIQUEなどのようなニッチパルファンのみを集めた専門店は、いままで日本にはなかったはずだ。 だから前にネットのニュースでオープンの記事を見つけて、ついに日本にも…

66.夢の後《Fantome maules(Stora Skuggan)/モクシー(ミルコブッフィーニ)》

ようやくSTORA SKUGGANがNOSEから届いた。 パリで見た時と同じ深い緑色をした丸いキャップに涼しげな色の液体。思い続けていた香水が毎日部屋にある光景は何とも感慨深い。 しかし、肌に乗せたところ、パリでの試香した時と香り方が全く違ったのだった。 そ…

65.花とスパイス(サント インシエンソ/グッチ ブロッサム)

ついに先日、惚れ込んでしまった香水を取り寄せる事にした。 香り自体はもちろん、ボトルデザイン、モチーフ、コンセプトに至るまでぴったり気に入った香りは珍しい。 その香水の購入を決めるまで、何度もそれと同じグリーン系統の香りを聞いて歩いては香り…

64.夜の港区《シャンティ シャンティ/エルモノ デ ラ ティンタ(ミレー エ ベルトー/フェギア1833)》

仕事終わりに港区の香水巡りをした。 新しい会社の仕事は順調だが、個人で受けた仕事が思うように進まず、正直に表現すれば現実から少し逃避したかった。 まずは青山のスパイラルマーケットを訪れた。 スパイラルマーケットといえばまず最初にミレー エ ベル…

63.ペンハリガンについて考える①(オーパス1870)

「香りでもなんでも、色気のあるものが好きだ」 と言ってペンハリガンの香水を纏っている男性がいた。 女性にはない男性の持つ色気に、常々憧れという曖昧な表向きの言葉の裏で激しく嫉妬してきた私としては、その場ではただただ話半分を装って相槌を打つし…

62.銀座で見付けた香水《ジャルダン ドゥ ポエット (オードイタリー)》

新橋にある企業に就職した。 大学院を出たらすぐに大学に勤めだした、一度も社会に出た事のない私が急に社会に馴染めるはずもなく、早々に風邪をひいて喉がカサカサになってしまった。 それはそうと、職場からは歩いて銀座に行ける。 これからはバーニーズニ…

61.影《カシス アンフィーユ(ミラー ハリス) 他》

夏は鼻が疲れる。 暖かくなって香りが立ち上りやすくなったこともあるが、なにより、夏は人々の感情の香り立ち方もはっきりとし濃厚さを増してくるように思う。 とあることがきっかけで、その感情の香りの複雑さや閉塞感にうんざりしてしまったので、香水も…

60.オイルとの相性《ネ デ ローズ(サベ マソン)》

パリに今までの香水の書簡を書き留めた手帳を忘れてしまったことに気がついて、しばらく落ち込んでいた。 このブログに上げていなかった数々の香水の記憶は、その香りのように私の記憶から薄れて行くのだと思うと悲しくてならない。 しかしそれもまたふさわ…

59.夏が来る(マーレパフィシコ)

少し前に丸の内に行った。 平日の午後であるのに東京は人がたくさんいる。 この日は日本に帰ってから初めて良い香水を求めて出歩いた日だった。 丸ビルのコンランショップに行くと、リナーリのコーナーが拡大されていた。 幸運にも、その日まで全種ディスプ…