polar night bird

香りの記録

8.春の香り(ローズ ポンポン 他)

村上隆の五百羅漢図展を見に行った後、六本木ヒルズ周辺をうろつく事にした。


自宅周辺で用事の時間が迫っていたものの、せっかくの休みの日であるし、どうしても新しい香りに出会いたくなっていた。
 
 
早足でエストネーションに行くと、様々な香水が迎えてくれた。楽しさから片っ端から試香をし過ぎたお陰で感想をまとめられなくなってしまった。ここではだいたいそのパターンに陥るので、毎回試しているバレードの所感が中々書けずに歯がゆい思いをしている。
 
その中でも今回気になったフレグランスは以下。
 
antianti&organics
ヴィンテージパルファムコレクション
→実際に試香は出来なかったものの、天然香料をワインの様に熟成させて作り、時間経過と共に更に熟成させて楽しめるという点が非常に興味深かった。
自分の選んだ自分だけの香水と時の流れを分かち合えるというのはロマンがあると思った。
こういうフレグランスを特別な記念日に、花束やジュエリーの代わりに一緒に選んで贈るのも粋なのではないか。私が男性であればそうしたい。
 
 
 
集めたムエットで鞄の中がどの香りとも違う誰かの気配になってきた頃、ようやく帰って用事を済ませる気分になった。
 
しかし、それでも気持ちが収まらず、池袋にも道草をしてしまった。
最初はグッチの香りを試してみようと西武に寄ったのだが、アニックグダールの棚に気になっていた新作のテスターが店頭に出ていたのが目に入ったのですかさず試香をした。
まだ発売はしていないらしいが、所感は以下。
 
 
ローズ ポンポン
プッシュした時に一気に広がる春めいた多幸感には目が覚める思いをした。
よくある「これぞローズ」といった香りではなく、ブラックカラントなどの甘すぎないベリー系の香りの華やかさとジューシーさが際立つ。ローズなどの花々はベリーの後ろで揺れているイメージがあった。鼻に抜ける様な爽やかさがあるのはパチョリを使用しているからだろうか。一時経つと、ベリー系の香りは引いて行き、薔薇や花々の香りにウッドの落ち着いた香りが残る。トップとはまた違った静かな木陰にいるような心地よさがあった。
 
 
 
 
外の寒さはまだまだ続くだろうが、春が近くなると、やはり心境的には広がりのあるフローラルな香水にアンテナが立ち始める。
 
手首に纏った花々の香りのお陰で、これから用事があるというのに地下鉄の座席に座った途端に考える力も目を開ける力も抜けて行き、空気の悪い車内でも花束に埋もれて眠る気分で深く寝入って過ごした。
 
 
 
antianti&organics
 
アニック・グダール
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