読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

日々の糧—香り日記—

日々出会った香水について記してゆく日記。

16.新宿と住む街と(エリー サーブ 他)

知人の女性と伊勢丹で香水を試香した。
日々の香水遊びに同行してくれる友人は稀で、もしかしたら香水カウンターを人と巡るのは今回が初めてかもしれなかった。
 
1人の時は大体ラルチザンやペンハリガン、オリザ ルイ ルグランのあるエリアに張り付くのであるが、今日はいつもとは違う気分で店内を巡る事が出来た。
その中で印象に残ったのは
ジョーマローンのナスタチウム&クローバー、エリーサーブのル パルファム、グッチのギルティー オー
であった。
 
 
所感は以下。
 
 
    ナスタチウム&クローバー
→ハーブガーデンシリーズ内では1番ハーブが弱めの香りであった。柑橘系とアロマ寄りの青々とした草花の甘さと優しさが心地良く続き、春の日差しの下の様な香りに変わって行った。どこか人肌の様な温かみがある。
ベチバーの香りも含まれているらしいが、私の肌だとあまり香らなかった。人によってはもう少しグリーンの香りが強くなるのだろうか。
 
 
 
ル パルファム
→オレンジブロッサムの爽やかな香りが目立つフローラルの香りが前面に広がり、後ににウッド系の香りが奥に加わり始める。甘みはバニラ的な濃厚に独立して香るものではなく、あくまで香っている花々の蜜のようなさり気なさ。
調香師はフランシス・クルジャンらしい。嗅げば分かるが、良くも悪くもフランシス・クルジャンらしい香り。どんなシーンでも女性らしさを発揮出来そうであった。
 
 
ギルティー オー
→滑らかで水の様に香る。ワイルドストロベリーが入っているらしい。ボトルのデザインとは少し違ってプッシュした直後は瑞々しい甘さが香り立つ。パウダリーになって終わるのかと思いきや、甘さと水の様な滑らかさは最後まで残った。ムスクがミドル以降の濃さを保たせているのだろうか。水と言ってもフレッシュ・透明感よりはとろみのある半透明の水のイメージに近かった。軽い香りではないため、賑やかな場所で輝く香りの様な気がした。
 
 
 
やはりジョーマローンのハーブガーデンシリーズはハーブがしっかり香るため、よくある「香水」的な香りが少なく新鮮だった。あまり香水が得意ではない人でも嗅ぎやすいのではないかと思えた。
 

香水を試香した後は、カフェで恋愛の話に花を咲かせた。
時に笑い時に真面目な楽しいお喋りに、先程試香したエリーサーブがとても合っていた。
 
 
そうして華やかにきらめく時間を後にして、最寄りの駅から家までは歩いて帰る事にした。
 
帰り道にはどこからともなく名も知らぬ花の香りが漂っていて、暗く、広い道路の脇には電気の灯らない民家や閉まった古い商店ばかりで何もない。
この夜道が堪らなく好きなのだ。
 
自販機でジュースを買おうとしていたら猫の鳴く声が聞こえた気がして周りを見渡したが、それはのぼり旗の棒が風で軋む音であった。
 
それを聞いていると先程までの新宿での春めく香りの香水たちや、新たな出会いの予感に心が躍る恋の話が酷く遠い日の出来事のようだった。
試香をした右手首から辛うじて識別出来る様々な香水が混ざった香りが、今踏んでいる湿っぽいアスファルトとは全く違う世界の香りに思えて来た。
 
 
 
ジョー マローン
 
エリー サーブ
 
グッチ