polar night bird

香りの記録

18.表参道(オー モエリ 他)

表参道を歩いた。

特に用はなかったのだが、渋谷に用事で立ち寄る前の道草で散歩する事にした。
 
表参道は楽しい。
特に今まで表参道で楽しい事も美味しい体験もした事は無いのだが、気取った通りに様々な人間とその意識が交差しており何となく興味深い。
今日も楽しい気分で歩き回り、久々に南青山のカカオサンパカに行く事にした。
 
 
しかし、カカオサンパカは無くなっていた。
去年の11月の末に閉店し、ディーゼルになったようだった。隣のチャペルと合わせて、いかにも青山趣味な所が気に入っていたのに残念であった。
 
代わりに、近くにあるディプティックへ行った。
 
ディプティックではドソンが好きで、それを店員さんに伝えたら、ドソン好きにお勧めの春夏向け香水を紹介してくれた。
その中で印象的だったものの所感は以下。
 
 
 
オー モエリ(EAU MOHELI)
→プッシュ直後は青々しい葉の香りが前面に香り、奥に甘い香りが見え隠れする。やがてその葉の匂いを掻き分ける様にカシスとほのかながら濃厚な花の甘い香りが前面に出てくる。
ドソンの春夏版というフレーズで説明された通り、青みの奥にチュベローズ系の香水によく見られる独特の癖えぐみがある所がドソンと似ている。それよりも爽やかな分、中盤では特徴的に鼻に残った。
 
 
 
 
そうして歩き疲れた頃、渋谷に移動した。
休憩がてら偶然時間の空いていた知人と喫茶店で軽い会合をした後、ヒカリエに赴いた。
そこで新発売のドルチェ&ガッバーナの新作「ドルチェ ローサ エクセルサ EDP」を嗅いでみたのだが、あまり特徴が掴めなかった。まとめる暇もなく他の香水をすぐに嗅いでしまったからだと思うので、また改めて所感が書ければと思う。
 
代わりに帰り際に出会ったスタージュエリーのオーデトワレの所感を書いた。
 
 
 
スタージュエリー ガール ビジュー(STAR JEWELRY Girl BIJOUX)
→一言で言えばマスカットの香り。プッシュ直後はフレッシュなマスカットが広がるのだが、調べてみたらアルデヒドが調合されている。
それと他の花(単体で嗅げば清潔な甘みの白い花系)の香りが混ざり合うからだろうか、フルーティーな香りにそれとは異質なやや苦みのある香りが点在するように感じ始める。中盤はマスカットの中に上記の形容するなら温めの風呂上がりの香りが重なって行き、「マスカットの香水を纏った人肌」の香りに思えてきた。一度嗅いで欲しい。
 
 
 
 衣装のようなものではない体臭系の香水は割と最近見られる気がするが、ムエットの段階でここまで明確に「人から香る香りの香り」だと感じた香水は始めてであった。
予想外の出会いに戸惑いながらも、帰りに少しだけ東急のエルメスに道草した。
もう辺りは薄暗くなっており、エルメスの店内の雰囲気におあつらえ向きになって来た。
今回は前々からボトルが気になっていたコロンエルメスを試香しようと来てみたのだが、やはり、あの商品が余裕を持って陳列されている空間にいると些か緊張してしまう。
結局、予定していなかったエルメッセンスシリーズの説明をしてもらったので、その中で特に印象的であった香水の所感は以下。
 
 
 
オスマンサス ユンナン(OSMANTHE YUNNAN)
→店員さん曰く、調香師(ジャンクロード エレナ)から香りの配合を教えられていないそう。 バニラ・桃系の香りといった名前の通り東洋を感じさせる甘さに、お茶のような清涼感があるもののこくのある花(?)の香り。時折暖かく滑らかなレザーのような香りがした。
オスマンサスとはキンモクセイだが、トップから上記のバニラや桃(アプリコットらしい)系の甘さが目立つ為、キンモクセイにありがちな鼻につく香りは一切しない。さらさらとはしておらず、しかし濁ってはいない。まったりと心地よい重さの、とろみのある黄金色のクリアな香り。
 
 
 
オスマンサスユンナンはすぐにでも購入したくなるような好みの香りであった。
バニラが芳しい香水は冬に付けると美しく香る。しかし、もう外は春である。
もう少ししたら更に暖かくなるだろう。
肌のように思っているティンタ・ロハも、上手く香らなくなって行くのだろうか。
 
今年も好きな香りたちが遠のく季節がやって来てしまったのは寂しい事だが、その代わりに、最近ジャスミノラが今までになく良く香ってくれている。