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日々の糧—香り日記—

日々出会った香水について記してゆく日記。

35.ミラー ハリスとの出会い(ルミエール ドー レ 他)

ミラー ハリス

仕事を定時にあげて銀座に行った。

昨日から三越でミラー ハリスの香水が全種類カウンターに出回ると聞いたからだ。

ここの所、あまり新しい香水を嗅いでいなかったので、これを機にミーハーに新しい香水に飛びついて一度に沢山嗅いでみようと思った。

 

 

B1階の香水カウンターに行くと、丸い卓にミラーハリスの新コレクションが綺麗に陳列されていた。

シンプルなボトルはどこかのセレクトショップで見た記憶があったが、試香の機会は無かったのだろう。新鮮な出会いに久々に試香の意欲が湧いてきた。

その中でも今回の新作のルミエール ドーレとエチュイ ノワールは光と影がテーマと言う事で、早速試香してみた。

所感は以下。

 

 

 

ルミエール ドーレ(Lumière Dorée )

→オレンジ由来の香料がふんだんに使われており、トップからプチグレンとオレンジフラワー、ネロリの香りが豊かに広がる。ジャスミンも入っているらしいが香りはパウダリーな甘いオレンジフラワーではなく、甘さはあるもののコロンの様に瑞々しいネロリの爽やかさが主役なので男性でも難なく纏える。

店員さんの説明通り、瑞々しく青空の下の晴れやかな朝の庭を彷彿とさせる。

時間を経てもネロリの香りは最後まで続くが、ラストが不思議だった。体質のせいだろうか、明るい太陽の日差しを感じさせるトップの甘さは遠退いて行き、プチグレンの酸味のある香りに木の根やお香の様な乾いた鼻にツンと来る神秘的な香り(エレミだろうか?)が入り込んで来た。

 

 

エチュイ ノワール(Étui Noir)

→トップからパチュリやレザーが深みを感じさせる。重さはあるが、そこに混じる甘さはくどくなく、ベルガモットかタンジェリンなどの酸味を引いた柑橘系の香りに加えてアイリス、ジャスミン的なパウダリーさがそれを濃厚にしている。

肌に乗せると不思議とレザーは主張をせず、パチュリやジャスミンの香りが肌に馴染んだ。フェギアのアルギィエンスエニャを思い出したが、こちらはカシスの甘さではない分甘みの粘度が弱くあっさりとしている。ミドル以降からインセンスとベチバー、アイリスのパウダリーな香りが増して行き、漂う様な夜露を含んだ様な甘さに変わる。不思議と女性的であり、夜が白む直前のあのまったりとした時間のイメージが湧いた。

 

 

 

ルミエールドーレとエチュイノワールは、トップこそ分かりやすく違った香りだが、光と闇が同じものの様に、どちらも柑橘系を包み込むようにしてグリーン系の香りが広がる設計はとても似ている気がした。やはり節々に同じ香料がつかわれているのだろう(説明してもらったが何が入っていたかはほぼ忘れてしまった)、やがてそれらは時が経つにつれて日が暮れ夜が明ける様に近付いて行くが、しかし近付く程にそれぞれの香料が対照的に働いている事が分かる。

 

試しにルミエールドーレとエチュイノワールの残り香の付いたムエットを一緒に嗅ぐと、やはりとても良い香りになった。

コンバインしても良いのかもしれないが、それよりもカップルなどでそれぞれ別の完成された香りとして纏った上で合わさった時の香りを楽しむ方が良いのではないかと思った。

 

 

この他にも全種類嗅がせて貰ったのだが、印象的だったのはジェーン・バーキンとのコラボフレグランスであるレールド リアン。簡単に所感は以下。

 

 

 

レールド リアン(L'air de rien)

→製作時に「古書の香り」とオーダーされたものだと店員さんから聞いた。トップからモスやパチュリなどの苔むした様な癖のある湿った香りと古い紙を彷彿とさせるウッド系の香りが丸みを帯びて広がるのだが、その後に浮かび上がるバニラが製本に使用されている様な上質な糊の様な香りを作り出していて非常に面白かった。(所有しているイタリアの高級糊が丁度こんな香りだった)

図書館系の香りはちらほら見かけるが、本自体に寄った香りは珍しいのではないか。ノスタルジックではあるが、埃っぽさより先述した湿っぽさが心地よい。

 

 

 

 

 あとは

花と果実をふんだんに使った華やかでフルーティーなカード ジャルダン

ローズの香りをペッパーが引き締めた甘さの控えめなローズ サイレンス

パウダリーで落ち着いた香りのベチバー インソレント

だろうか。嗅ぎやすいが、どれも考えれば簡単な香りではなかった。

 

 

 

また色々と勉強になったと感心しながら三越を出た時、既に鼻がほとんど効かなくなっていた。

歩いているとたまに感じる排水口のような香りに苦悶する必要が無くなり助かりはしたが、

次に行ったバーニーズニューヨークではあまり香りが分からず、何度もコーヒー豆を嗅がせて貰ってしまった。

 

 今思い返すと、ミラー ハリスはバリエーションが豊かで面白かった。

現代的な流行を押さえたものからクラシカルな調香まで楽しめる。

昔のレシピを守って製造している系統のニッチフレグランスは多いが、ミラーハリスの香水は根底がとてもモダンなので、古典的な香りも広がり方はあくまで現代的で、妙なノスタルジーが排除されていて嗅ぎやすかったように思う。

 

ミラーハリスはムエットではなく人の肌にのせる事が完成らしい。

すべて試そうとすると腕がおおよそ20本必要になってくる。

たくさんの人を連れて腕に乗せてもらうのが良いかもしれない。 

 

 

 

ミラー ハリス

https://www.millerharris.com/collections/fragrance