もう外は秋の香りに満ちている。
いつの間にか前の記事から大変時間が開いてしまった。
今日まで、いろいろなスケジュールに追い立てられて、香りの無い生活を送っていた。
そうして一息ついて外に出たら、どこもかしこもキンモクセイの香りが漂っており、ふと我に返った。
記憶をたどると、9月24日に知人と青山のディプティックで行われた新コレクションの発表イベントに行って来た。
そこでは香水に因んだカクテルを片手に香りを楽しめ、派手なパーティーではなくアットホームな雰囲気でとても賑わっていた。
ただ唯一残念だったのは、振舞われていたバラのカクテルを飲んで早々に酔いを回してしまった事であった。
楽しく説明を聞いた記憶は残ったが、肝心の香りの記憶は酔いと共にほとんど消えてしまった。
しかしやはり何らかの形に残しておきたい。
辛うじて記憶に残っていた知人との会話の記憶や殴り書かれたメモを元にまとめた所感は以下。
エッセンス アンサンセ 2016 (ESSENCE INSENSÉES 2016)
→ローズ、蜂蜜、薔薇の実、サンダルウッドなどの香り。トップはローズが主体に香ったが、例えばローズゴルデアの様な華やかさのアクセルを最大まで踏み込んだ王道のローズ香水ではなく、ハーブや蜂蜜の香りが目立って混ざっており、くぐもった溶ける様な甘さがある。知人は鼻にツンと来る香りを感じたらしい。それが薔薇の実なのだろうか。ローズの香りを覆い隠さず、奥の方に甘酸っぱいグリーン寄りのベリーの香りを感じる。
ミドル以降はローズよりも蜂蜜とみずみずしいハーブの様な香りが強くなった。蜂蜜の甘さはラストまで続く。(しかしそんなに甘さはキツくはない)
青空の下、様々な花や果物を収穫する緑の中で、薔薇も同じように香りを熟させて香っているようなイメージの香り。
ソリッドパフュームの方が薔薇が強めに香った。
キモナンス (KIMONAITHE)
→複雑かつ気持ちの良い香り。樟脳、サンダルウッド、スパイス、モクセイ(キンモクセイではないらしい)、それに塗香(だったと記憶している)などが入っているらしい。面白い調合でお香系のウッディな香りが多いが、決してそれらにありがちな煙たい香りではなく、むしろトップは深みよりは広がるタイプの香りであり、粒子をあまり感じず、やや重く滑らかでまったりと香り立つ。
モクセイはさり気なくインセンスの香りと混ざり合っている。店員さんが砂糖菓子のようと形容していた通り、最初からラストに香っても良いような密度のある甘さがある。ただし、もともと甘さを狙った素材は入っていない為に甘さは主役ではない。ボトルのデザインのように、薄い暖色の色味がかった半透明な、角の無い丸い石のようなイメージを受けた。
ラストに近付くにつれてお香のパウダリー感は強まるが、「香」というより花粉のような粒子感。
感情的ではないが、捉えどころのない魅力のある香りだった。
自然をテーマにしようともどこか現代的に、ブティックのある青山の様に洗練され研ぎすまされたディプティックの香りは確かにどれも良い香りだと毎回感じる。
香水の他にも掃除や浄化に使えるビネガーの入ったウォーターも気になった。
しかし、それと同時にディプティックのスタイルは自分には都会的過ぎる気も毎回する。
その日、アルコールを入れて綺麗な香りを纏って歩いた青山は、まだまだ好奇心で歩く街だった。
そろそろ香りの世界が恋しくなったので、もう少ししたら、また宛も無く香水の旅に出ようと思う。
キンモクセイも良いが、最近は道ばたのツツジもガーデニアもよく香っている。
ディプティック
https://www.diptyqueparis.com/