1月3日にフェギア1833の初売りに向かった。
詰め合わせが売られると聞いて、貧乏な私はこの機会を逃せなかったし、やはり一年の始まりの香りはフェギアで行いたかった。
2万円の詰め合わせを買ったら
アグア デ ガーデニアのオーデパルファム
フアン マヌエルのキャンドル(小)
フィギィエールのキャンドル(大)
パタゴニア ウッドボックス
に、まだ未発売の新作
ラベリント、ムスカラ ヴェティヴェリア、ムスカラ フェロ ジェイ
の3種の小分けテスター
の5点が入っていた。
アグア デ ガーデニア は、前に所感を書いている。
26.転換期(ポメロ パラディ 他) - 日々の糧—香り日記—
キノコの香りが入っている纏いやすくもユニークな香りの香水で、ここで手に入れられて嬉しさこの上ない。
フアンマヌエル やフィギィエールはキャンドルは初めてだった。
所感は以下。
フアン マヌエル(キャンドル) (juan manuel)
→パルファムよりもローズの香りはすっきりと鼻に抜ける様な清潔感が強いような気がする。2種類のバラの香りが混ぜられており、そこにピンクペッパーという調香のために、華やかな蜜っぽいローズではなく甘さは控えめ。瑞々しさは丁度ローズの花弁を触った時と似ている。温度の低い引き締まったスパイシーさがあり、香り立ちは真っ直ぐに筋が通っている。石鹸の様に香るのでリフレッシュが出来た。
綺麗にした室内に焚いて風呂上がりに香りを楽しんでみたくなった。
フィギィエール(キャンドル) (fueguier)
→パルファムと同じくイチジクの香りがリアル。イチジクを主軸に他にはプチグレンとムスクが配合されており、酸味は無くグリーン系の優しいパウダリー感と深みが付与されている。そのためイチジクの香り立ちはどちらかというと柔らかな実の部分というよりはフィグリーフ的な、葉や幹を含めた青さを感じた。
爽やかさがあり、青空の下心地良い風と共に感じるイチジクの木の香りのイメージがある。昼間焚いてもリラックス出来る香り。
新作のテスター3本は、フェギアらしいスモーキーな香りだった。まずはラベリント。
ラベリント(Laberinto)
→ウッド系の香り。トップはタバコやパチュリ系の甘さの無い乾いたコクと渋味。だんだんと深みが増してくるにつれて、石のような硬質な香りが混ざってくる。この香りがベチバーだろうか。ベチバーを確認すると、この香りは序盤のコクと代わる様に強まって行き、最後まで続いた。サンダルウッドが入っているため、苦味はあってもギスギスした香りではなく、適度な透明感を持ちながら滑らかなタバコの煙の様に肌に染み込む。茶色味がかった緑色をイメージできた。メンズ寄りの香水。
【追記】ラベリントはボルヘスの詩集「迷宮(ラベリント)」から取っていた。硬質な香りは迷宮の果てしない石組みなのか。
ムスカラはmuskaraという新たなカテゴリーの、化学的で実験的なアプローチの香水のようだった。
所感は以下。
ムスカラ ヴェティヴェリア (Muskara Vetiveria)
→深く苦味のあるグリーンの香りはスモーキーでいながら奥に垣間見える芯が直線的に通っており、徐々にドライフルーツ的な乾燥感のある香りが現れる。トップにジンの香りを感じたが、どこか漢方の様な癖のある香りが気になり、何だろうかと考えていたら、リコリスの香りであった。その香りは暫く続いたが、いつしか後ろから追尾していたベチバーの土気のある香りが台頭し始める。ラストはほぼ、甘さの無いベチバーに落ち着いた。
ムスカラ フェロ ジェイ(Muskara Phero J )
→とても複雑。フェギアのショコアトルにやや似たココアの様なコクとパサついた香ばしい甘さを奥に感じる。そう思うと表面のバニラの滑らかさに気を取られて細部が分からなくなる。ラストに残されるムスクの香りはほのかに優しく爽やかだった。
どうやらダウンのフォーミュラXのように人が持つ香りとの相互作用により香り方が変わる様なタイプの香水だと書いてあったが、どうなのだろう。
新作は春に発売されるらしい。
謎が多いので、店頭で再び試香する機会が待ち遠しい。
と、このような充実した香りはじめとなった。
これからは、ムスカラシリーズのような人が持つパーソナルな香りに焦点を当てた香水が注目されて行くのだろうか。
新年から幸先の良いスタートを切った気はするが、今年もきっと想定外の香りとの出会いと学びが沢山あるはずだと期待している。