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日々の糧—香り日記—

日々出会った香水について記してゆく日記。

53.まだ少し早い春(ディン ダン 他)

ロスマーク オリザ ルイ ルグラン

恵比寿で映画を観てそのまま中目黒まで散歩した後、日比谷線で銀座に向かった。

外は寒いが晴れてはいて、絶好の1人散歩日和だった。

全くと言っていいほど知らない街を一人で気怠く歩いていると、世界から半分隔絶された夢の世界を歩いているようで、それはそれで気分が踊る。

ふと春の気分になってみようと思い立った。

 

恵比寿でも中目黒でも今年の春の香りものを探していたが、セレクトショップではイソップが目立つばかりで、香水はあまり収穫がなかった。

(イソップが嫌いなわけではない。)

 

銀座は東急プラザに行った。

東急プラザ銀座は雑貨屋の多くが各々の店の雰囲気に合った、割と珍しい香りものを置いているので楽しい。

特にエルムタージュ ドゥーに置いてある香水のセレクトは特に私の気い入りで、店員さんの応対も優しいので、今回も香りを求めて棚に向かった。

 

前々から気になっていたロスマークをまず試してみた。

ロスマークはブルターニュ地方の小さな村の名前が由来で、その町が海辺に位置することから海を彷彿とさせる香りが多い。ボトルのデザインも海のイメージを喚起させる。

その中で、ディンダンアエルマが印象に残った。

 

 

ディン ダン (DIN-DAN)

→ブレイス語で「やぶ」という意味。

プッシュした直後はピーチとレモンがともに香り、ややフルーティーなイメージだったが、みるみるレモンが台頭する。レモンは酸味が強く甘さは控えめ。そこにヴァーベナ、ミントの爽快感のあるグリーンがレモンの輪郭を強調させるような形で香るため、直線を描くようなきりりと鋭利な香り立ちになっている。

最近ではレモンが主体の柑橘というとコロン的な控えめな香りが多いように感じるが、これは珍しくレモンの青さまでも強めの主張で楽しめる。ミドル以降はピーチブロッサムはフルーティーさではなくあくまで花として控えめに混ざり合い、他の湿潤な香りの中で程よくパウダリーに香った。ラストまでこの調子は続くが、残り香はレモンの奥にミントの名残があり、レモンの香りの石鹸に少し似ている。

ボトルのラベルも幼少期の洗面所を彷彿とさせる。なぜ藪なのだろう。

 

 

 

アエル(AEL-MAT)

→ブレイス語で「守護神」という意味。

まずボトルのラベルが気に入った。青を基調とした遠くに帆船が見える絵柄はなんとも不思議なノスタルジーがある。香りは、店員さんが海につけて行きたいマリンの香りと形容してくれた通り、よく聞くとマリン系の香りなのだが、一般的なバニラの強いマリンではない。

トップはマリンが入っていると気づかないほどの爽やかさと瑞々しさで、グリーン系に近い気がした。わたしの肌ではジャスミンカモミールのまろやかさを帯びたやや鼻に残る緑の香り、その奥にさりげなく甘いピーチのような果実の香りとムスクが透明感を持って香った。ミドル以降から漸くマリンらしい仄かな塩味とジャスミンの滑らかさが現れ始めるが、バニラ系の濃い香りは感じないため、あくまでハーブの漂う鼻を爽やかに通り抜ける香りが主体だった。ラストはトップと比べれば甘みが強まりパウダリーになった。最後まで残るムスクは清潔さがあるので、その香りは変に肌に残らない。

 暑い砂浜と太陽と海というより水底の砂利に空のブルーが揺れ動く初夏の海をイメージした。ボトルのイメージ通り、香りにも懐かしさが混ざった可愛いらしさがある。

 

 

山はマドエレン、海はロスマークとフランス奥地で作られる限定生産香水が揃う中、オリザルイルグランを置いてある所もやはり渋い。

 

オリザからはもう少し先の春の訪れにふさわしい香りを勧めてもらった。

 

 

デジャ ル プランタン(DÉJÀ LE PRINTEMPS)

→フィグリーフの香りの香水。トップはシダーウッドの落ち着いた香りが香り立ち、その中に、フィグリーフやクローバーなどのふわりとした軽さのある、優しい緑の香りと花の香り(ミュゲやデイジーが入っている)が分かる。ベチバーやモス、ガルバナムも入っており、その土を感じさせる透き通った香りがシダーの乾いた香りと混ざり合い、ウッド部分を入れ物のようにはっきりとした輪郭にさせている。それは古い本を開いたときの様な感覚にさせる。

先述した花のノートは優しくさりげないものを配置している他には、ミントなどの爽快系のグリーンも含まれており、それが先述した花々の部分も緑の一部として引き立たせているように感じた。残念ながらオレンジブロッサムの香りは私の肌では香らなかった。ラストはやはりウッドの香りが残った。その中に僅かに残る甘い香りは、風のなかに一瞬感じた春の気配を探すように聞く楽しみがあった。

他のオリザの香水と同じく、春の華やかさも感じながら変な派手さはなく、昔出会った懐かしい春を思い出すようなノスタルジックな香り。

ユニセックス。女性的でも男性的でもないと思う。

 

 

 

ディン ダンアエルマとデジャ ル プランタン、どれも春夏にふさわしい香りで、全て欲しくなり、次はここで香水を買おうと密かに心に決めた。

 

 

 

東急プラザを出たら陽光がいつもより少し暖かく、吹いた風にデジャヴを感じたりした。

 

 

 

Heroomtage

 

※ロスマークはトゥモローランドでも扱っているらしい。

LIFE STYLE GOODS | TOMORROWLAND

 

オリザ ルイ ルグラン | 伊勢丹オンラインストア