日々の糧—香り日記—

日々出会った香水について記してゆく日記。

58.Memoに会う(Moon Fever 他)

パリではもう1つ印象深い出会いがあった。

ギャラリーラファイエットにて、まだ日本には上陸していないが、本で見知っていたMemoにも会うことが出来た。

噂通り、金のボトルを飾るアール・デコ調のデザインが目を引く。

 

 その中で印象的だったものが、

INLE IRIS、KEDU、MOON FEVER

の3種類だった。

 

 

ケドゥ(KEDU)

→核となる香りがグレープフルーツオイル、セサミアブソリュートホワイトムスクという面白い調香。それを知ると何やらボトルのデザインもゴマを彷彿とさせるような…と感じてしまう。

トップは甘さの控えめなグレープフルーツが強い。その他に、何やら奥にトンカビーンやコーヒー豆に似た、それよりも甘さを抜いたやや苦味が強い香りがする。多分これがセサミアブソリュートの香りなのだろう。それにマテ茶の茶葉のコクが合わさり、香ばしいコーヒーのような芳香として感じたのだと思う。

私の肌ではこのグレープフルーツとセサミの苦味の爽やかな香りが目立ったのだが、フリージアやローズ、ピオニーアコードも含まれているらしい。苦味と香ばしさがありながら角が少ないまろやかさが心地良かった。

 

 

 

 

インリー イリス(INLE IRIS)

→トップから穏やかで安定感のある甘い花の香りが広がる。ジャスミンオスマンサス、イリスといった各々個性的な香りの花が集まっているよう。他にはベルガモット、アルテミシア、ミントなどが含まれている。

核である香りが各々癖のある花だが、イリスは主張せずあくまで縁の下の力として、その滑らかで沈着な香りはラストまで香りの立体感を支えている。また、これにもマテアブソリュートが使われている。ケドゥの時もそうだったがマテがコクを担い、ミドルからは濃い酒の様に滑らかでとろみのある香りになっている。私の肌ではラストまでジャスミンが主体に香っていた。

香りの立ち方のバランスが良く、本来ならば結構な甘さであるはずなのだが上品に纏えるのも流石Memoだと感じた。

 

 

 

 

ムーン フィーバー(MOON FEVER)

→トップはシダーウッドを下敷きにビターオレンジとグレープフルーツが香る。よくあるフレッシュな柑橘系ではなく、最初からウッドとグリーンの乾燥した香りが走っているため甘さやたるみがない。

しかし、ミドルからみるみる香りが変わり、レザーの深みが現れる。それと同時にネロリを思わせる香りとシダーのパウダリーさが相俟って甘い質感になった。不思議なのはこの「甘さ」という点で、実際に甘い訳ではなく、匂いとしてはトンカビーンが香るものの甘さは控えめなのだ。しかしトップの筋張った香りからすると、質感がレザーの肌触りのようにとろけるようになる。そこに絶妙な甘さを感じた。

ラスト以降はベチバーとレザーのドライな香りが残った。

名前にMoonが入っている、いわゆる夜を題材にした欧米の香りの中では面白いと感じる。

ホームページの紹介文に「夜空では感覚が鋭くなる」と書かれている。(訳が違ったら残念だが…)

その通りで、ムーン フィーバーから想像出来る夜は孤独で自由で瞑想的だと思った。

男女共に違和感なく纏える。

 

 

 

 

 その他の銘柄も試してみたところ、

Memoはベースにレザーを使うものが多く、しっとりとした高級感のあるものが多かった。

そして何より、MOON FEVERで言った通り甘さの距離が絶妙なものが多い。

旅や神秘的な自然をモチーフにしたものが多い通り、上品でありながら、都会の街並みや豪奢な人の営みとは少し離れた場所を思わせた。

日本上陸が待たれる。

 

 

 

他にもパリでは様々な香水との出会いがあったが、このブログではこのくらいにしておこうと思う。

 

 

日本に帰ってきてまず感じたのは、パリと比べて空気が甘く角が丸いという感覚だった。

 

その空気の中でこれからはどんな出会いがあるのだろうか。

 

 

 

Memo Paris - Luxury fragrance