日々の糧—香り日記—

日々出会った香水について記してゆく日記。

59.夏が来る(マーレパフィシコ)

少し前に丸の内に行った。

平日の午後であるのに東京は人がたくさんいる。

この日は日本に帰ってから初めて良い香水を求めて出歩いた日だった。

 

丸ビルのコンランショップに行くと、リナーリのコーナーが拡大されていた。

幸運にも、その日まで全種ディスプレイしている予定らしかった。

リナーリはドイツのブランドで、設立者は建築やインテリアデザインの出身だからか、ボトルデザインは硬質かつ安定感があり、インテリアとしても美しい。

 マーク・バクストンを調香師の1人に迎えているところから気になっていたブランドだった。

今回はマーレパシフィコの所感を残したい。

 

 

マーレ パシフィコ(MARE PACIFICO)

 →海の誘惑という副題が付いている。マリンのカテゴリに入れられているが、トップはレモンの瑞々しく爽やかな香りが広がる。バーチリーフやサイプレスのグリーンの香りが背後で支えているように香るため、弾ける香りではなく当たりは穏やか。

私の肌では、マリンらしいミネラル感のある甘みがミドル以降の、終盤に近い時期にじわじわと香り出してきて初めてマリン系なのだと知った。

マリンと言っても、よく見られるバニラは含まれていない。ハートノートの清涼感のあるローズやベースノートにモスが置かれているためか、香りは終始澄んだ静けさがある。 甘さらしい香りは先述の清涼な香りが包み込む水の様な香りの一群とは少し違う位置にあるように香るマリンノートしか感じられなかった。

 イタリアや南仏のマリンと比べると、明らかにアプローチが違って面白い。海水浴場で感じる海岸や日光の臨場感は遠くにあり、窓を開けて浴びる潮風や、澄んだ海水に足を浸した時の冷たさや飛沫の爽やかさを感じた。気付いたら海にいた、様な心境だ。名前の通りの海への誘惑を彷彿とさせる。

 

 

リナーリの香り全般に言えると思うのだが、香りに終始大きな安定感があった。ベースノートは重くはないが硬質で、それを土台にしてお互いが支え合うように整然と香りが織り込まれている印象がある。

背景に建築があるからというのは浅い発想だが、確かに理知的で建築的な香りだと感じた。

 

 

 

 

もう外は夏の様な気温だったりする。

マリンは個人的には甘さがつよくなってしまうためあまり好まないのだが、そのバリエーションについて考えるのは予想以上に面白そうという発見があったのは大きな収穫だった。

 

去年の夏は確かグリーンばかりを追っていた。

今年の夏はマリンだけを聞き歩きしてみたい。

 

 

LINARI | リナーリ ジャパン