日々の糧—香り日記—

日々出会った香水について記してゆく日記。

62.銀座で見付けた香水《ジャルダン ドゥ ポエット (オードイタリー)》

新橋にある企業に就職した。

大学院を出たらすぐに大学に勤めだした、一度も社会に出た事のない私が急に社会に馴染めるはずもなく、早々に風邪をひいて喉がカサカサになってしまった。

 

それはそうと、職場からは歩いて銀座に行ける。

これからはバーニーズニューヨークも、エストネーションも、三越も、東急プラザにも簡単に行けるのだ。

 

その日、仕事終わりに歩いて銀座に向かってみた。

しかし途中で道を間違え、通った事のない高級料亭が並ぶ通りに出てしまった。

艶やかな女性から香るパウダリーな香水の香りだったり、新店舗の花飾りの華やかな香り、美味しそうな何かを焼いている香りなどが、湿った道に沈むように濃く香っている。

 

場違いであることは分かっていながら、とにかく歩き続けていると、ふと見慣れない香水が店の前に並んでいる店を見つけた。

 それは店頭では見た記憶のないオード イタリーだった。

店員さん曰く現在日本では、オードイタリーはこの店でしか店舗販売していないらしい。

オードイタリーは、イタリアの高級ホテルのレ シレヌーセが発表した香水だ。

 イタリア香水というと、やはりベースに石のような硬質さがある先入観がある。
しかしこのオードイタリーについては、イタリアの長い長い歴史にインスパイアされていながら、それはあまり感じない。

あくまで今日の視点から歴史を眺めた、全体的にライトで現代的な香りが多かった。

 

 

その中で、やはりグリーンのジャルダンドゥポエットが気になったので所感をまとめた。

 

 

ジャルダン ドゥ ポエット(JARDIN DU POETE)

 →詩人の庭という意味だと教えてもらった通りのグリーン。ギリシャの植民地時代のシチリア島が舞台らしい。(詳しくはリンク参照)

トップからバジルが入っているらしく、その深みのある甘みとビターオレンジとグレープフルーツの苦味のある香りが相まって香りの粒は瑞々しくも、暗緑の葉の果樹を思わせる落ち着いた丸みを見せる。

時間が経つにつれ、葉に注視されていた香りは視界が開けるように周囲へと広がってゆく。ベースにあるサイプレスとベチバー、ムスクの植物の粒子感は周囲の土の香りを含んだやや湿潤で暖かい空気として下に敷かれ、ミドルのアンゼリカやヘリクリサムのどこかまったりとした深みのあるアロマティックな緑の香りは、徐々に肌を囲んで染み入り体温を感じさせるように香る。

このように徹頭徹尾グリーンが配置されている訳だが、前回取り上げたカシスアンフィーユに似ている木陰のような属性ながらも、こちらは花の存在が薄い。

 その香りはどちらかというと、足元に茂る臨場感のある草花というよりは、緑自体はある程度の距離を保って提示されているように感じた。

そうして柔らかく描かれる香りの表情は詩人の眼差しか、それとも詩人の言葉に向けられた草木の眼差しか。どちらにせよ、この香水は自らを取り巻く香り自体だけではなく、それらに囲まれ包み込まれて、その香りが染み込んだ自分自身とも対話する事になる。

シチリア島の明るく青い空と緑と詩人の思慮深いコントラストをイメージさせた。

ちなみにアンゼリカは「天使のハーブ」、ヘリクリサムは「不死」と呼ばれているらしい。ただしそこには大げささや楽園的だったり悦楽的なイメージは感じられず、ただ内省がある、というところも気に入った。 

 

 

 

 

この店は他にもブランド香水からパラッツォベッキオだったりフェラガモの高級な香水ラインまで、イタリア系の香水を扱う店のようで、とても興味深かった。

特にフェラガモのPUNTA ALA のサンアコードについては特に気になったので、再度聞いて所感をまとめたいと思っている。

 

この店にはまた寄ろうと思いながら通りに戻って四方八方に歩き続けると、ロオジエの前やリンツの前を通ったりした。

店の暖色のまばゆい光とは対照的に、行き交う人々は逆光で輪郭しか分からなかった。

 

 

 

 

 

eauditalie.com

 

 

 

こちらの方が日本語で説明がされ、購入も出来て親切。

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