日々の糧—香り日記—

日々出会った香水について記してゆく日記。

67.NOSE SHOPにて《ゴールデンネロリ(アベル)》

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新宿NEWoManにニッチパルファンを扱うNOSE SHOPがオープンした。

フランスのNoseやSENS UNIQUEなどのようなニッチパルファンのみを集めた専門店は、いままで日本にはなかったはずだ。

だから前にネットのニュースでオープンの記事を見つけて、ついに日本にも出来たかと感激して密かにこの日を楽しみにしていたのだ。

 

その日はちょうど家での制作作業があったので、作業の滞りを理由に外に出て、どんな香りがあるのかと早速足を運んでみた。

 

NEWoManの1階へ辿り着くと、白を基調としたコンテンポラリーな内装と綺麗に陳列されたニッチパルファン達が目に入った。

 

 扱っていた香水は、

ラボラトリオ オルファティーボ

マドエレン

ディーエス&ダーガ

アベル

と、香水以外ではラボラトリオオルファティーボやケルゾンなどいくつかのルームフレグランスとオーストラリアのオイルパフュームがあった。

この規模で様々な地域の、百貨店系香水とはまた一味違う香りに対するアプローチの前衛に一度に触れる事が出来る場所はやはり他には無い。

そしてその数々を試香してみれば、純粋に鼻が楽しくなる体験が出来る。

 

ディーエス&ダーガとアベルは日本での店舗取り扱いはNOSE SHOPが初めてのはずだ。

ディーエス&ダーガは、古き良きアメリカのフロンティア精神や自然の広大さを感じさせるラインナップで、乾燥地帯のウッドや陽射しだったりを連想できるドライな香りが印象的だった。

 アベルはオランダ発の天然香料100%の香水メゾンだが、シンプルで品の良い香りだけには止まらず、表現に一捻りある香りが揃っている。サイトによると何やらワインに縁があるらしい。初見の印象では、一度に広がるというよりは嗅覚に浸透するように下に降りてゆく香り方をするので、縦長の香りの層を思わせた。

 

その中で印象的だったのは

ディーエス&ダーガでは、

ドライなハーブとウッドのCOWBOY GRASS

華やかでイノセントさを感じるローズのROSE ATLANTIC

すっきりとしたグリーンがトップのCORIANDER

火事の時の香りがテーマの個性的なBURNING BARBERSHOP

アベルでは

変化がユニークなGOLDEN NEROLI

透明感のあるアンバーのCOBALT AMBER

だった。

一度にたくさん試してしまい、記憶がおぼろげなので、今回はアベルGOLDEN NEROLIについて所感を残したい。

 

 

ゴールデン ネロリ(GOLDEN NEROLI)

→名前の通り、トップはネロリが主体に香るのだが、その香りはオレンジフラワーのパウダリーな濃密さというよりは、ミドルに配置されているプチグレンのおかげだろうか、柑橘系のピールのような爽やかな苦味と酸味と共に香る。それと同時に、ふわりと粉のように軽いタッチのクラシカルさを持った香りが同居しているのだが、調香を見てみるとミドルのイランイランの他に抹茶が含まれている。この抹茶の香ばしくも控えめな香りが、トップにおいては他のパウダリーな香りの一軍を引き締めている印象がある。

さらに時間が経つと、抹茶の香ばしさは姿を隠し、ジャスミンなどの花の香りが台頭し始める。引き続きのネロリも含めると文字だけだとなんとも濃厚な香りの組み合わせだが、ここでのジャスミンはその青さと甘さがトップとは対照的にジュースのように瑞々しく香り、イランイランに関しても透明感のある甘露の一部として香りに溶け込んでいるので濃厚さは強くない。ラストはサンダルウッドとバニラなのだが、気候と肌のせいなのか、バニラはほとんど主張して香らず、ミドルでしばらく姿を見せなかったプチグレンの酸味が戻り、それと同時にトップのパウダリーさにサンダルウッドのウッド系の清涼感の伴う滑らかな甘さが相まって静かな残り香に変化してゆく。香りを引き締めているプチグレンが気配を消さずにいてくれたことで爽やかな印象を常に感じることができた。

トップノートの説明にも書いてある抹茶とネロリ(プチグレンも含む)の調和がこの香り全体のバランスも総括しているように思えた。互いが変に主張しないように抑制しつつも立ててゆく関係性がどの香りの配置にも感じられ、ゴールデンと名付けられている通り、それらの香りの波の調和が作る明暗が様々な表情の明るくも品のある光沢を連想させた。

しかし、トップからラストに至るまで香りの変化はチャーミングにさえ感じる。どんな気候でも纏いたくなる香りだった。

 

 

 COWBOY GRASSについても簡単な所感にまとめた。

 

カウボーイ グラス(COWBOY GRASS)

→名前の通り、アメリカ西部の乾燥した荒野を思わせる香りから始まる。降り注ぐ太陽光に照らされて生きる乾いた野草を思わせるヨモギ、ベチバーやハーブの苦味、カウボーイの吸うタバコの煙のようなスモーキーな苦味。砂煙で乾いたレザー。そこには甘さの要素は見つけられず、その寡黙で厳しい土地のようにとてもドライな印象を受ける。

しかし時が経つにつれて荒野に生える草にも命があるように、さまざまな表情と深みを感じられるようになる。風にそよぐように香る乾いたハーブの奥には丸みを帯びた優しいグリーンの息吹があり、荒野の土にも体温が備わっている。

そのようなミドル以降のしっとりとした温かさがとても心地よい。

マカロニウエスタンや西部劇好きには嬉しい香り。メンズ香水としては大変好みの香りなので、ぜひ男性諸君に背中から香らせて欲しいと思った。

 

 

 

 他の所感に関してはまた後ほど残してゆきたい。

 

 

 

 久々の真新しい香りとその場所との出会いは刺激的で、雨やら何やらでうんざり気味の気持ちが一気に吹き飛んだ。

満ち足りた事で眠気を感じながら店を出た。

 

NEWoManのオープン以降、その周辺も大きく変わった。

少し背伸びしてジャドールを纏って人と歩いたイルミネーションの綺麗な道は、あの時はまだ工事中の白い塀ばかりが目立っていたし、突き当たりには小さな飲食店があったが、今はもう無い。

ゴントランシェリエもいつの間にか違う名前になった。

 

NOSE SHOPの店員さんは、これから新しいブランドも店頭に並んで行くと言っていた事を思い出した。

今までもニッチパルファンが多く見られたNEWoManで、新たな香りの探検が出来る変化はとても嬉しい事だった。

すでにまた訪れたい気持ちと共に歩く雨の帰路でも、腕に乗せたゴールデンネロリは良く香った。

 

 

 

www.dsanddurga.com

 

www.abelodor.com

 

www.newoman.jp