polar night bird

香りの記録

【特別編】Tanu氏×ゆうれい Juliette has a gunクロスレビュー!

 

皆さまお久しぶりです。

大変お待たせしてしまいましたが、初企画記事が完成しました!

 

【特別編】Tanu氏×ゆうれい Juliette has a gunクロスレビュー

 

 

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あらすじ

この話は私、ゆうれいの

Juliette has a gunまた日本に来ないの?

という何気ないツイートによって兼ねてからリスペクトしていた香水ブロガーのTanu氏とJHAGについて話したことに端を発する。

Tanu氏のブログはこちら。

クラシカルからモダンまで素晴らしいレビューがそろい踏みです↓

lpt.hateblo.jp

 

 

何年か前に日本に来ていて、なんだかすぐに代理店が倒産したしないというしょっぱい噂は聞いていたが、確かな顛末を聞かないし、来日自体もすでに忘れ去られ始めているようだ。

JHAGとは何だったのか。

 真相が完全に風化し迷宮入りしてしまう前にJHAGについて調べてみよう。

という事で、JHAGクロスレビュー企画が形になったのであった。

 

目次

 

 

 Tanu氏レビュー ジュリエット・ハズ・ア・ガン奇譚

 

先日、以前伊勢丹などで販売されていたフランスのニッチブランド、ジュリエット・ハズ・ア・ガンの香水が数種類、ヤフーショッピングに出店しているコスメ系アウトレットストアで投げ売りされているのを目にしました。国内販売価格が11,865円(~2014年販売当時、税込)だった50mlボトルが2,928円(税込)。ショップでは堂々「76%OFF!!」と出ていました。同時進行でヤフオクやメルカリにも出品していて、どうやら同一人物及びショップが一斉に在庫整理を図ったと思われました。数日中にボトルはほぼ売切れましたが、小出しに出品しているのか若干売れ残りもあるようです。

 

ジュリエット・ハズ・ア・ガンといえば、ニナ・リッチのひ孫、ニナ・リッチの息子でパルファン・ニナ・リッチ創立者、ロベール・リッチの孫であるロマーノ・リッチが立ち上げ、その名の通りシェイクスピアの「ロミオとジュリエット」のヒロイン、ジュリエットが銃を片手によみがえり、美しさを武器にドッカンドッカンやらかす、というコンセプトなレディスフレグランスオンリーのブランドで、とても企画もの臭いので、全く触手が動きませんでした。前後して、今回クロスレビューを行うゆうれいさん(壇れいではありません)の情報で「JHAGが日本撤退した」事を知りましたが、そもそもJHAGが日本上陸していた事すら知らなかった私は、知らない間に上陸して、知らない間に撤退したこのブランドに俄然興味が湧いてきて、ゆうれいさんと協力し、力の限り処分品をサルベージしました。ちなみに私が購入したのは、これからご紹介する①レディ・ヴェンジェンス(2006)②シチズン・クイーン(2008)③カラミティJ(2009)の3作です。3本買っても大1枚でおつり(送料込)でした。

 

購入したボトルを見ると、

発売元(輸入代理店):株式会社ワイズポリシープラス

製造発売元(薬機法に基づき化粧品の製造・販売許可を得ている会社で、輸入代行業者):株式会社ポイント

と書かれており、日本上陸は2008年、かつて存在した映画会社、ワイズポリシー(2009年4月破産)の専務が社長を兼任した化粧品会社、ワイズポリシープラスが輸入代理店だという事がわかりました。上陸当時はロマーノ・リッチも来日して、華々しくローンチイベントを行っていたようですが、http://wisepolicytokyoblog.blog32.fc2.com/category21-1.html 親会社は破産、関連会社のワイズポリシープラスも、社長ブログなどの過去記事が2015年12月で途切れているので、既に亡きものと思われ、日本での販売母体は何もかもなくなった状態でした。

 

この件について、本国JHAGのカスタマーサポートにメールして問い合わせると、その日のうちに以下のような回答が届きました。

 

”Dear Customer,

 

Thank you for your message and your interest in the brand.

Unfortunately, we do not sell Juliette Has A Gun perfumes in Japan, nor do we ship them.

I do not know when we left Japan and do not have information about our ex-retailers if there were any.

 

Best regards,

Juliette.”

 

なんと、ジュリエット本人からの回答です。もう何も覚えていないし、日本じゃ買えるところなんかないし、こっちから商品送らないし、しっしっ、という、10年前、あんなに華々しく会員制クラブでパリピを集めてイベントやったニッポンの客に対して開いた口がこれかよ、という内容ですが、ジュリエット本人から返事が来てしまったので、どうしようもありません。あまりしつこくすると銃口を突きつけられるかもしれないので、返事もしませんでした。丸無視されなかっただけでも誠意のある対応をしてもらえたと前向きに解釈しています。

 

話はブランドに戻ります。ロマーノ・リッチは4年間フランシス・クルジャンと共に調香を学んだあと、自分と一緒に組むようクルジャンを口説き落とし、2006年12月にJHAGを立ち上げるも、クルジャンは初出3作のうちレディ・ヴェンジェンスとミス・チャーミングを手掛けた後に逃走、共闘は2作でさっさと終わります。その後ロマーノ本人が調香を手掛けている事になっていますが、基本的には調香師の開示がないので、外注の可能性があります。

2011年5月、ロマーノ・リッチはJHAGの高級版、メゾン・ジュリエット・ハズ・ア・ガンをスタート、一方でJHAGも2013年からラグジュアリー・コレクションと称し、レギュラーラインの2倍以上の価格帯で販売していますが、ご多分に漏れずアメリカのディスカウンターにどんぶらこっこ流出しているので、旧作~準新作が半額で入手できます。

 

それでは、レビューに入ります。基本情報は公式サイトの翻訳を掲載しています。

 

 

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レディ・ヴェンジェンス 2006年発売(廃番)

調香:フランシス・クルジャン

香調:ウッディシプレ(体感:パチュリローズ)

トップノート:ベルガモット、ラベンダー

ハートノート:ブルガリアンローズ、パチュリ

ボトムノート:トンカビーン、バニラ

 

能書き

「パチュリのオーバードーズヴェンジェンス・エクストリームは、過積載のパチュリにブルガリアンローズとバニラで構成する、シプレ・フレグランスです。露わな官能性と迸る挑発を呼ぶ香跡。あなたの手は、今汚れる…」

 

【JHAG初出の香りですが、既に廃番で公式サイトでは詳細が分からないので2011年に発売された後継品のVengeance extremeで代用します。体感的には殆ど変らないとの評判ですが、オリジナルはローズが主役だったがエクストリームはパチュリ度アップ(当社比)らしいです。よってこの能書きおよびノートはパチュリを2割引にして読み取ってください。レビューはレディ・ヴェンジェンスの実装によるものです】

 

Tanu's Tip :

 

パン、パーン!酸味がちなブルガリアンローズが、ベルガモットと乾いたパチュリと共に立ち上がる。指を切りそうな硬くて薄い紙のように、鋭く高い透明度で広がるこのローズとパチュリのバランスが中々よく、あと少しパチュリ寄りだと土臭く、ローズ寄りだとベースに引っ張られてグッと甘さが出るかもしれない。ベースのトンカビーンとバニラは平均的で、総じてさっぱりめの氷菓ラクトアイス級のローカロリーなバニラムスクに落ち着く。パチュリローズは良くある組合せで、手持ちのものだとランスピラトゥリス(2006、ディヴィーヌ)の印象が強いが、ディヴィーヌはパチュリローズの引立て役に、たっぷりとしたパウダリームスクが鎮座していて、秋冬のイメージが強いうえに胸や腰つきのふくよかさを感じるふくよかさの一方で、この「復讐夫人」はかなりのやせぎすで、その貧乳っぷりは「世界で最も貧乳の女優」と検索すると一発ヒットのキーラ・ナイトレイ並に貧しい乳だが、貧乳に官能がほとばしる方もいらっしゃるからこそ世の秩序は保たれており、結果として春夏向けのパチュリローズに仕上がっています。

 

 

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シチズン・クイーン 2008年4月発売

調香:ロマーノ・リッチ

香調:フローラルアルデヒド(体感:パウダリーフローラル)

トップノート:アルデヒド、レザー・アコード、ベルガモット

ハートノート:イリス、チュベローズ、オレンジブロッサム

ボトムノート:アンブロキサン、ラブダナム、バニラ

 

能書き

「捕まえられるものならやってみな…彼女はただ尖がった、グラマラスな、手ごわい女じゃない。全部盛りで美しい。極めてたとえようがないが、だからこそ魅力的なのだ。彼女の香りはミステリアスなやみつき系のアルデハイディック・シプレ、その香りはモダンとクラシックの交差点。ロミオ、気を付けて…ジュリエットが、生きて最高つかみどころがなくなって戻ってくる!」

 

Tanu's Tip :

 

ズギューン!アイリスとレザー、ベルガモットでビターに始まるが、その衝撃は程なくおさまり、徐々にきしみが抜け、パウダリーな中にもさっぱりとした甘さが出てくる。昼過ぎにはその甘さが増して来て、誰にでも好かれそうな、わかりやすいバニラムスク(昔の面影が時折ちらつく程度)に落ち着く。拡散は控えめ、持続良好。序破急があり、普通に使いやすいパウダリーフローラルで、これがその名の通り「市民の女王」なら、是非市議選に立候補していい町づくりを推進してほしいと思う位です。選挙戦の時は街頭で口角泡飛ばしてどうなる事かと思ったけど、途中西友でお茶系飲料と定番バニラ味のエンゼルパイを買いに走り運動員を労うなど、意外性に満ちたアットホームっぷりにドッキリ。そんな絵面が目に浮かぶシチズン・クイーンは、3本ブラインドバイした中では一番良かったです。

 

 

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カラミティJ 2009年発売

調香:ロマーノ・リッチ

香調:ウッディ

トップノート:シナモンエッセンス

ハートノート:パチュリ、イリス

ボトムノート:セタロックス®(フィルメニッヒ製アンバーグリス系香料)、トンカビーン、バニラ

 

能書き

「女性に捧げるメンズフレグランス…フラワリーな要素もフルーティな要素もない香り。女性のために作られた、マスキュリン・フレグランス…この香りにはマスキュリンでいて洗練された、どこかダンディな表情があります。ソフトでウッディなトップノート(パチュリ)が、ハートノートのアンバーとイリスが重なり合い、センシュアルに変化していきます。賦香率16%のオードパルファムですが、肌と肌がぬくもりを交わした時だけそっと声を漏らす、そんな風に作ってあります。」

 

Tanu's Tip :

 

ダガガガガガガ!立ち上がりから若干苦くて汚い獣毛臭さを放つ。これがセタロックス効果だろうか。JHAGは、一般的にはアンブロキサンと言われるフィルメニッヒ製アンバーグリス系合成香料、セタロックス®が大好きで、わざわざ香料にアンバーグリスとではなく「セタロックス®」と銘打ち、セタロックス®を薄めただけのNot a perfumeまである位で、ロマーノ・リッチはよほどセタロックス®を偏愛しているのだろう。女性に捧げているものの、肝心の女性が中々顔を出さない。いつまでたっても毛の生えた男が目の前にいる感じで、しかも臭い割には声が小さくてなよっちい。その辺が「そっと声を漏らす」さじ加減なのだろうか。消えかかりにようやくバニラトンカな甘さが出てくる。レビューを担当した3作の中で、最も能書き倒れなのがこれ。能書きですら的が絞れていない感があるので、香りはいわずもがな。男は毛が生えているだけじゃダメなんだ。あっ、これ女性ものか!!

 

ちなみにセタロックス®は、Sixteen92などのアメリカン・インディーブランドが信頼を寄せ、かつては協賛ブランドにイマジナリー・オーサーズも名を連ねていたアメリカの香料通販サイト、Creative Perfume https://www.creatingperfume.com/index.aspx から一般人でも普通に購入でき、純度100%の結晶が5g9ドル以下で手に入る上、セタロックス®の標準使用量は5%なので、単純計算で100gのアルコールに5g投入したら、Not a perfume 100mlが出来てしまう計算になる。当然これは個人向け小分け価格なので、商用となれば原価はもっと安くなるはず。「アイデアノーベル賞、商売は詐欺レベル」の先鞭、Iso E Super®(IFF製)を薄めただけのモレキュール01(2006、エセントリック・モレキュールズ、調香:ゲザ・ショーン)も50%希釈液15mlが同じ店でたったUS$3.69な事から「このアイデアいただき」と思ったのだろうが、ゲザ・ショーンは数々の調香作品を見るだに「器が違う」実力派なので、その差がここに出た感がある。

 

article contributed by Tanu of LPT / La Parfumerie Tanu

 

 

 

ゆうれいレビュー ジュリエットは二度死ぬ

 

シェイクスピアに興味はないが、ロミオとジュリエットの話くらいは分かる。

 敵対する家に生まれ、その運命にあらがえずに死んで行ったジュリエットは、昔は仮死用の毒薬とナイフを持っていたが、21世紀の今は銃に持ち替えているようだ。

ロミオの気配はない。現代に蘇り、更に自分を守る術を手に入れた彼女にはもはや感傷的なロマンスは必要ないという事だろうか。

 

まず、私が入手したのは「ミス・チャーミング」と「ノット ア パフューム」の2点だった。どちらもざっくり言えば0年代の香水の流行を押さえた香りで、どちらかと言うとブランド自体ジュリエットと同じ世代がターゲットのカジュアルな印象を受ける。

まずは所感を以下に残したい。

 

ミス チャーミング(Miss Charming)

→調香は、公式サイトでは

トップ:モロッコローズ

ミドル:ワイルドストロベリー

ベース:ムスク

と非常にシンプルな物になっている。

因みにFragranticaではローズ、ライチ、ワイルドベリー、イチゴ、ムスクが挙げられている。

調香の通りトップからフルーツの濃い香りが立ち上がるが、そのベリー系主体のかおりの中には仄かにオレンジのような甘さのある柑橘系の香りも捉える事が出来た。

 質感は均等な大きさの香りの粒子が集まっている印象で、奥へと注視するとその粒が噛みつぶされた様にはじけて瑞々しい香りが広がる。瑞々しいと言ってもジュースなどのそれではなく、立体感はそれ程無いためか、丁度ガムを噛んだ時の香りの広がり方に似ている。その後すぐにオレンジはベリーの香りに回収され、その下にマットな甘い内に籠った様な層がちらつき始めた。調香にミルクやバニラが入っていないのが不思議なのだが、これがfragranticaで敢えて分けられているベリーとイチゴのコントラストの成す効果だとしたら面白いと感じた。

そのまま中心のベリーに注目していると、その輪郭にローズの香りを僅かに見いだす事が出来た。私の鼻にはその二つは殆ど重なって感じられたのだが、やはりローズの方がよりシャープに鼻に抜けて行く。だが、クラシカルな薬草的なローズではなく、調香師がフランシス・クルジャンだけあって甘く芳醇なローズの香りだった。

ラストに近付くとベリーの明るさは収まり、今まで奥に感じていたミルキーな層が現れた。そこの中心に小さく花弁の鼻に引っかかる様なある種のえぐみを伴ったローズの香りとイチゴの香りが丸く乗っている。ベースがムスクだからこそ、濃い香りではあるものの変な重さやシリアスさが無い。

イチゴもバラ科だ。ワイルドベリーにもバラ科のものは多い(ブルーベリーとクランベリーツツジ科だそうだ)。同じ科の香りを集めた「バラ科の競演」とも言えるが、全体を通して何かが突出したりドラマがあったり変拍子がある訳ではなく、それぞれの香りが同じ素材のケミカルな半透明セロファンに転写したようなフラットな状態に揃えられて重なっている印象を受けた。その代償に香りの縦軸の深みや複雑さは見られない。

それぞれはある一定の整然としたレイヤーとなり「ミス・チャーミング」を形作ってるが、そこにはある種のブレが生じており、層が浅いからこそ分かるそこの微量な差異が面白くも不気味でもある。

ふとジュリエットの

「私たちがバラと呼ぶものは、他のどんな名前で呼ぼうとも、同じように甘く香るわ」という台詞を思い出した。

調香師のフランシス・クルジャンもこの一節を読んだのだろうか。

 

手堅い香りではあるが、終始人工香料の効いた「ガムっぽい」と感じる香りなので、好き嫌いのある類いかもしれない。実用の際は深く考えずに普段用で付けてもらいたい香りだった。

 

 

 

ノット ア パフューム(Not a perfume)

→アンブロキサンを溶いたものである。この香水の説明に関しては先にTanu氏が分かりやすく行ってくれたので、補足することはほとんどない。

肌の近くで一瞬にして広がり、肌と一体化する様な浸透を見せた。その部分はしっとりとした体温を感じるエモーショナルな肌ではなく、ふと腕に付いていた水滴のような質感だった。

香りとしては非常に例えが難しいのだが、アバントゥス フォー ハーのベースに感じるアンバーの電磁波めいた香りだけを30代くらいの男性が引き抜いて綺麗な水で洗って瓶詰めにしたような香りで、完全な合成香料のみの、有機物の介在しないある種の清潔感はある。ただ私の鼻はアバントゥスのそれともどうも相性が悪い。吸い込むと上澄みに平行に筋が走る清潔な木材や草に似た苦味、中腹に均等な粒で構成された透明な圧迫感を感じる。

割と香りが飛ぶのが速かったのが幸いだった。段々とアンブロキサンの刺激は丸くなっていった。ただ、粗さのある粒の上層の苦みは消える直前まで感じられる。

 やや脱線するが、悲しいかなこのような「香水ではない」と既存の香水のあり方を挑発した香水たちは、今やスキン系と括られている。そして「肌に馴染み、自分だけの香りになる香水」という売り文句で売られている事が殆どだ。

「香水ではない」と宣言するこの合成香料水達が、香水として昔から変わらない私達消費者の香水に対する欲望を引き受ける形になってしまったのは本末転倒なのか、ある意味成功っだったのか。

 

 

 

補足しようと新作をいくつかサンプルで取り寄せたが、全般的に合成香料を多めに使用したカジュアルな香りだった。純粋に香りとしては、明るく、分かりやすく、力強い。

しかし、ここでは終始女性の主張やイメージの表層が造形されてゆき、彼女のいる情景や、彼女を形作ったバックグラウンドの描写や、引用の豊かさの面は弱い。

しかし一方で、Tanu氏のレビューでの女性プロファイリングからも感じたのだが、女性を描写しているにも関わらず如何せん色気に関しては付ける側の補強が必要で、余裕を感じない。 逆に、だからこそ「女性」の記号的な香りの構成がやや鼻につくのだ。

この21世紀に蘇ったジュリエットはどんな気持ちで日本に来たのだろう。 残念ながらジュリエットは2度死んでしまった。

ジュリエット達はロミオも要らない程に強く美しくセクシーだったが、銃をちらつかせ過ぎたのかもしれない。

主人公の銃はいざという時の為に隠し持っておくものなのだ。

常に手の内を見せてしまっていては、西部劇序盤で退場する強盗と変わらない。

 

そしてJHAGは鼻の観賞用ではなく明らかに実用向けの香水だ。JHAGこそが銃でもある。

銃が無くても生きて行ける日本のジュリエット達とのニーズのすれ違いもまた想像出来る。どちらが良いかという問題ではなく、これは日本の売り方の問題でもある。背中を預けて戦えるロミオもいない、香水の不毛の地日本での戦いは苦しかっただろう。

 

今後、もう3度目が無い事を祈って、おやすみを言い続けたい。

ジュリエットよ安らかに。今後も欧米で活躍し続けてほしい。

 

 

最後に

企画発足段階から今日までかなり時間が経ってしまった事は本当に申し訳なさで言葉が見つからない。

しかし、普段は取り上げないであろうジュリエットハズアガンというブランドに焦点を当てるという機会は本当に新鮮で勉強になった。おまけにTanu氏のレビューも見られて一石五鳥以上であった。

本当にありがとうございました。

さて、今回はだいぶ長くなったので堅い締めの文で終わらせて頂こうと思う。

今回取り上げたJHAG以外にもさりげなく日本に上陸し、さりげなく去って行くブランドは多々あるし、日本に来ない香水は更にある(大部分が日本に来ていない)。

そんな日本において、今後もこのブログがこんな香水もあるのだと思ってもらえる、香水活動と間口の一助になれば幸いに思う。

 

 

 

https://www.juliettehasagun.com/fr/

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