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日々の糧—香り日記—

日々出会った香水について記してゆく日記。

37.記憶に残る甘い香り(サリーナ)

ラボラトリオ オルファティーボ

早いものでもう9月だ。

8月の末から気持ちが塞いでいて、それが9月の今も少し尾を引いている。

 昨日は特に予定は無かったが、怠い気持ちのままでは不健康な気がして、ちゃんと化粧をして、少しだけ乗り換えに手間をかけて外苑前のCIBONEに行った。

CIBONEのついでにカフェで甘いものでも食べれば気分が良い具合に向かうのではないかと思っていた。

 

CIBONEは気軽にニッチフレグランスを嗅げるので以前にもミルコブッフィーニやアーキスト、ラボラトリオオルファティーボを試香しようと訪れた事がある。

 

 その時にも衝撃を受けたのが、ラボラトリオ オルファティーボのサリーナだった。

ムエットを嗅いだ時にその甘い香りに漠然とした不安に駆られ、

肌に乗せたときに衝撃を受けた。

体質や嗅ぎ分けられなかった私の嗅覚が劣っていたから変な香りとして感じたのかもしれない。しかし、何だかマリンに殴られた気持ちになり、思考停止したまま店を出たのを覚えている。

 

その日もサリーナは変わらずさりげなく店頭に並んでいた。

甘い香水はすぐに忘れる私が、サリーナだけは最初の出会いから忘れた事はなかった。

 

最初の出会いから幾分か冷静になった現段階での感想は以下。

 

 

 

 サリーナ(salina)

→トップはレモンピールの爽やかさが目立ち、バニラが香りながら夏のさわやかな柑橘の香りとして楽しめるのだが、みるみるバニラとマリン特有の潮味を帯びた濃厚で丸みを帯びた甘い香りが増してゆく。ミドルの香りは初めて嗅いだ時は主観で良く言えば「カスタードクリームのように濃厚なバニラ」であり、悪く言えば「生卵っぽいマリン」と感じた。時が経つにつれてマリンの側面が強まって行き、ラストは変わらずマリンとバニラのままだが、ややパウダリーに漂う様な温かな調子に落ち着く。

他のビーチ系の香りと比べて個々の香りの強度が高く、よくある雰囲気系の緩くチープなマリンではない。調べると、バニラとマリンスパート以外に甘さを担う香りは見られず、ハーブ系のマートルやウッド系のパインニードル、ラベンダーが含まれている。ミドルの最もマリンが濃厚な時に香りを吸い込んでみると渋みを伴うシャープな香りを有機的に感じた。ラストになるにつれてそれらの香りは明確に姿を現しバニラたちを縁取り始め、香りをぼやさせない役を担っていた。そのお陰で生々しく強すぎる程にバニラが引き立てられているのに乳白色のイメージではない、まろやかで癖のある、一筋縄ではいかない甘い香り。

ユニセックス。もしかしたら男性の方が上手く香らせられるのではないかとも思う。

 

 

 

 

 つい長くなってしまった。

 他にもミルコ ブッフィーニのモクシーやコムデギャルソンなど面白い香りはたくさんあったが、所感は後に回そうと思う。

 

 2回目にして漸く気付いたが、サリーナは香りに付加される余計な物語性を排除している気がしていたが確かに夏の陽射しと浜辺の香りなのだ。

体験した事のないどこか遠くの国の燦々と輝く太陽の暖かさと煌めくなめらかな海の香りだった。

 

 帰りはカフェには寄らなかった。

 サリーナの残り香が消えた時、ふと風の香りがもう秋の様相だと気付いた。

秋が大好きなのに、今年は何故か無性に夏の終わりが寂しくなった。

 

 

 

 

ラボラトリオ オルファティーボ

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