polar night bird

香りの記録

2022-01-01から1年間の記事一覧

110.低血圧なグルマン、あるいは私の肌の香り《ECCENTRICITY(JMP Artisan Perfumes)》

少し前、形容し難い心ここにあらずな状態が続いていた。 心地良かったが、浮世を離れ過ぎて仕事に支障があった。 もしかしたら先の聞香会のために砂糖を抜き過ぎたのかと思い、一度しっかりと糖分を摂取して脳を現に戻そうと喫茶店に向かった。 その日初めて…

109.香木の霊魂(香木7種のレポート)

麻布香雅堂にて開催されたイベントで、今更ながらほぼ初めてしっかりと香木を聞いた。 月の初め辺りに香道の展示を見てからというもの香木への機運が強まっており、今回然る殿上人のお陰でイベントを知り幸運にも予約が成功して今日を迎えた。 私はこの日が…

108.ロシアの記憶《Ladanika(Ладаника)》ロシアニッチ香水レポート

世の中が今の様になる直前にロシアのインディ香水と作家事情が気になった事があり、Ladanika(Ладаника)からサンプルを購入していた。 その後今のような状況となり、どうやっても香水へマイナスな印象を与えかねないと感じて公表のタイミングを逃していたのだ…

107.日傘の中のトロピカル《ALOHA LEI(fūm)》

春の冴えない頭を凝縮した様な週末である。 すっかり辺りは草花の香りに溢れ、正午になれば厚着を後悔する様な陽気になる。 その月の連休の最後の日は水辺のカフェのテラス席で虚無な老人よろしく薄ぼんやりと湖畔の風に当たって過ごした。 自分の働きぶりに…

106.罪作りな者達《Tubereuse criminelle(セルジュ・ルタンス)》

人を連れて銀座の香水を巡った。 阪急メンズ館、Nose shop、Le labo、FUEGUIA1833… 知り合って間もない相手の事は良く知らないままであったが、香水初心者への配慮も忘れて香水店に連れ回した。 私が香りについて話して、ムエットを渡し、相手がそれを受け取…

105.冬と春の間《No.12 (Puredistance)》

着実に春になって行く。 私は冷たい外気が好きで寒い日には敢えてカフェでテラス席を選んで過ごすのだが、徐々に寒さが辛くなくなって行くことに気付いてふと寂しさを覚えた。 この日はピュアディスタンスのNo.12を付けてテラス席で過ごしていた。 外は人が…