polar night bird

香りの記録

45.サロン ド パルファン ① (ローズ クチュール 他)

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22日から新宿伊勢丹でサロンドパルファンが開催されている。

私も早速23日の祝日を使って、サロンドパルファンのイベントに参加した。

 

 それはローズの香りについての簡単なレクチャーと体験が出来るもので、一度にローズの香りを比べながら体験できる良い機会だったので予約してみたのだった。

イベントではまず、ローズの歴史や、種類について簡単に知識を得てから今年収穫されたローズのエッセンシャルオイルを試香する機会があった。

その後、サロンドパルファンに出品してあるローズの香りを楽しんだのだが、まずその試香した10種類の簡単な所感メモを残そうと思う。

 

 

ブルガリ  ローズゴルデア

→前に記事に書いたが、他のものと比べるとムスクがはっきり香り甘みは少なめだと分かる。


フランシスクルジャン  ア ラ ローズ

→他のものと比べるとローズの香り方が柔らかい。


フランシスクルジャン  ア ラ ローズ エクストラ

→ア ラ ローズよりも薔薇をふんだんに使っており、それにふさわしい深みがある。


エリー サーブ  ローズ クチュール

→同じくクルジャンの作。ローズ ネクター アコードというクルジャンオリジナルのアコードが使用されている。ベリーのように濃厚。

 

アニック グダール  ローズポンポン

→前に記事に書いたが、ローズの他のピオニーやハーブの香りがスッと鼻に抜けるのが心地よい。

 

アニック グダール  ローズアブソリュ

→1番ローズのエッセンシャルオイルに近い香り。バラが目の前で咲いているような、熟した花弁の香りがする。

 

クリード ジャルダン アマルフィ

→柑橘系が入っているからかローズは華やかというよりは古典的なコロンのような香り。クリード特有の滑りもある。

 

ペンハリガン  誰からも愛されるローズ公爵夫人

→甘くウッドを含んだ優しいローズの香。トップの香り立ち方が人の温かな肌から感じる体温の様で目が覚めた。

 

ブルガリ アマレナ

→チェリーが入っており、その甘酸っぱい香りがローズを瑞々しく香らせる。ヨーロッパ的なローズの香りよりやや明るく暖かい印象。

 

 

ボンドNo.9 ブライアントパーク  

→ローズにピンクペッパーの近年流行り(?)の組み合わせでシャープな印象。しかし奥にアプリコットやメロンのような甘みを感じる。

 

この中で、今回は

フランシスクルジャンの『アラローズ エクストラ』、エリーサーブの『ローズクチュール』の所感を書いてみようと思う。(ペンハリガンの新作も面白かったが、記憶の問題でまとめるまでに至らなかった。)

一度に嗅いだので正確な記憶ではないかもしれないが、以下。

 

エリー サーブ

ローズクチュール(LE PARFUM ROSE COUTURE )

→クルジャンのオリジナルのローズ ネクター アコードがミドルに配置されている。

トップは肌の上ではオレンジブロッサムやベルガモット、ピオニーの白い花系の甘く明るい香りが広がるが、その後ろからやってくるローズに注意すると、その香りはネクターと称されるだけあり、濃厚で滑らかに曲線を描く輪郭はフルーティーで瑞々しい。ライチやピーチも入っているので彼らもその一翼を担っているが、香り自体はあくまでローズを取り巻く輪郭としてであり、あまり主張はしていない。

もちろんローズはムスクがパウダリーに香り出すラストまで主役として続く。

ドレスをイメージしているものの、当たりは格調高さというよりは穏やかな印象。煮詰めたジャムのように濃厚だが、砂糖の甘さと濃さのイメージはない。その甘さ控えめな濃密さと瑞々しさのバランスはさすがクルジャンなのかなと思った。

 

 

フランシス クルジャン

ア ラ ローズ エクストラ(正式名称を忘れてしまった)

→ムエットのみの試香。

普段のアラローズがどこまでも広がって行く豊かなローズの香りなのに対し、こちらは使用しているバラの本数で考えてもローズの中に無限に耽溺できる香り。

蜜のようなバラのとろけるような濃厚な香りがアイリスの内に篭る落ち着いた優しい香りに絡まるように一つに引き付けられ、夢心地な香りになっていた。高級な布地の顔を埋めたときはこのような気持ちになるのだろうなと思えた。(これはフランシスクルジャンのフレグランス全般にしばしば思う)生まれるずっと前に過ごした幸せな時間を思い出せそうだった。至福。現在日本には5本しか入荷しておらず20万ほどするらしい。サロンドパルファン会場に展示されている。

 

 

 

このように一度にローズに絞って試香したことはなかったので、面白い体験だった。 

 

レクチャーでは、西洋的な「女性らしさ」の記号としてのローズの香りにフォーカスが当てられており、香水のセレクトもその流れの正統のものだったと感じる。

今回所感をまとめたローズクチュールはなかでも強くその傾向を感じた。

 

一方で、最初に嗅いだ新鮮なローズのエッセンシャルオイルには、甘く濃い花弁の香りの中にどこか柔らかい上質なレザーのような、花弁の奥底で様々なものを煮詰め凝縮したようなこっくりとした深いコクを感じたのだが、それを10種類の香水の後に今一度嗅いだ時、不思議にも上記のイメージで慣れ親しんだローズの香りが急に混沌とした遠い国の香りに思えてきたのだった。( ここでローズ史を語るのが筋かもしれないが、長くなるのでやめたい)

 

 ローズの異国情緒に頭をぐるぐると回転させられながらイベント会場を後にし、サロンドパルファンの会場を覗きに行った。

 

②に続く。

 

 

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