またも久々の更新となってしまった。
最近は完全フリーでイラストを描いたり転職活動をしたり、
ついに念願のパリ香水旅行を実行に移せる時がきたのでその計画をしていたりする。
さて、20日はギンザシックスがオープンという事で銀座を訪れた。
時間もあったのもあるが、前回書いたパリに住む友人にプレゼントを選ぶためもあった。
友人はなんとパリで日本人の彼女が出来たそうだ。
部屋に閉じ籠りがちだった彼の前進が嬉しいやら、前のように連絡しにくくなって正直寂しいやらで複雑な気分なのだが、恋人達をこよなく愛する私は5月にパリに旅行する際に彼らに特別なプレゼントをしたいと考えていた。
そこに、ギンザシックスのディプティックで銀座店限定のキャンドル「TOKYO」が限定発売されると聞いた。パリと東京の融合。彼らへの土産としては文句ないのではなかろうか。
そうして訪れたギンザシックスは、平日に関わらず混雑していた。
しかし、店内は新装特有の変な香りはせず、適度に良い香りがする。きっと様々な香水があるはず。
ディプティックは後回しにしてとりあえず香水の販売状況を見て歩いた。
今回は、
ジョーマローン、ディプティック、サードマン、ミヤ シンマ、ヨウジヤマモト、オリザ ルイ ルグラン、マドエレン(香水は扱っていなかった)
に出会った。
新鮮なものといえばサードマンとミヤ シンマ。オリザ ルイ ルグランは旧デザインなので、伊勢丹で販売している新デザインより幾分か安く購入できてお得そうだった。また、オリザは石鹸の取り扱いが他では見られないほど多かった。オリザもこれから注目されてゆくのだろうか。
サードマンは、香水をあまり付けない人や初めて香水を付ける人のためのシンプルなフレグランスというコンセプトらしかった。
香りはアンバー、ベチバー、シトラスなメンズ寄りのドライな香りを中心に揃っていたが、確かに、それらの香りはアンバーだったらアンバー系香水のベチバーだったらベチバー系香水の現代の流行の平均に位置しているような佇まいで主張をしない。
しかしクールでフラットで、誰にでも馴染むに違いない。(こういうのをノームコアと言うのだろうか)
香水ライトユーザー以外でもオフィスで使用するには申し分無い香りだった。
ミヤシンマは雑貨屋の片隅に売られていた。
今回は風が気になったので記録に残しておきたい。
風(KAZE)
→トップは酸味よりも甘みの勝る柑橘系の香り。ミドル以降に強まる爽やかな花の香りと柑橘のみずみずしい香りが相まって、風は日本のちょうどいまの季節の風のように甘く水気を含んでいる。(フェギアのソンダと聞き比べると、その違いに風にもいろいろあるのだと改めて感じられて面白い)
時間が経つに従い、癖のない甘みとを帯びた明るい花の香りが混ざり始める。フリージアとすずらんなどだそうだ。ミドル以降の香りは風がふと通り過ぎてゆくような加速が心地よい。トップの水気は近づいてくる花々とウッドの香りと共に水蒸気のように四散し、だんだんと香りが一つに纏まってゆく。私はミヤ シンマのラストに使われているムスクの香りの透明感がとても気にいっているのだが、この「風」も、ラストは濁り気の無いシダーウッドの香りと共にムスクが残る。
癖の無い香りで、春夏にはぴったりだろう。服のように纏ってもいいが、休日の朝の部屋にこの香りをプッシュしたらよい1日を迎えられそう。
ミヤシンマとの出会いのあと、ディプティックへ向かった。
その時点でお目当てのキャンドルはほぼ売れてしまっていたが、運良く購入できた。
店頭で試香した所感は以下。
TOKYO
→香りを聞かせてもらうと、ヒノキの香りが主体であるものの、ミヤシンマ的な澄んだみずみずしい香りがする。サイトでのパインオイル、シダーリーフ、オークモス、インセンス、エレミ、ジンジャーという調香を見た限りではよくあるインセンス系の香りなのかと思っていた分驚きがあった。決してドライ過ぎたりお香の甘い香りがするわけではではない。ジンジャーが華やかさを出しているのだろうか、癖がなく清々しい空気のように鼻に抜ける湿気を含んだウッドの香りの中には透き通るジュースのような爽快感さえあった。
なんでも調香師が新宿御苑を訪れた時に閃いた香りらしい。
フランスの調香師にかかれば新宿御苑がこのように変わるのか。と舌を巻いた。
この傾向の似た香りを同時に試香できたのは面白かったと思う。
ギンザシックスは他にもマドエレンのキャンドルが新発売されていたりと今後の香りの展開が気になるところだった。
品揃えは若干フランス香水に寄ってはいるが、個々の香りの取り扱いに関しては他の百貨店と大きく違っていたように思う。
そうしてディプティックの袋を片手に意気揚々と外に出ると、急に何か物足りなく感じた。
何がそうさせているのか自問しながらバーニーズニューヨークに入ってバラの香水でおすすめは、と店員さんに話しかけたところで、その原因が解明した。
今までは香水は自分一人で楽しむ密かな趣味であったが、今年に入ってから友人に香水を選んだり誰かと一緒に試香散歩をする機会が増えた。
その「誰かの香り」を聞くという贅沢にかまけて自分の香水に関してあまり考える暇を設けていなかった事に、その時気がついてしまったのだった。
バーニーズを後にして地下鉄に乗った頃には言葉にならない焦燥感に駆られていた。
新しい自分用の香水はもちろんパリで買うから良いのだ。
問題は専ら、何の香りをパリに持って行くかなのだ。